PS4版 いけにえと雪のセツナ クリア後レビューと考察

いけにえと雪のセツナ

あの頃、みんなRPGに夢中だった。
とりもどそう。ボクたちのRPG―――。


と、いうわけで今日はスクエニの新作RPG、『いけにえと雪のセツナ』のご紹介です。(レビュー後述)
http://www.jp.square-enix.com/setsuna/


昔はRPGが大好きで結構やっていたのですが、最近はMMORPGやソシャゲばかりで腰を据えてコンシューマをやることも減ってきました。(MMOやソシャゲの一部も広義にはRPGかもですが)
どうしてもネットワーク前提のゲームをガッツリやろうとするとランキング上位に入りたくなってきますし、いくら効率よくやったとしても相当の時間を持っていかれます。
本ゲームの前にプレイしたRPGといったら『世界樹と不思議のダンジョン』なんじゃないかというほどプレイしていません。結局それも途中で投げていますし。


そんな自分ですが、この『いけにえと雪のセツナ』はソシャゲの合間にちょこちょことプレイして、20時間ほどでクリア。
とても面白かったです。いいゲームですね。

一時期はスクエニは終わっただのなんだの騒がれておりましたが、オンラインゲームの方はいざ知らず、コンシューマでは相変わらず高いクオリティでゲームを世に放ち続けていると感じています。
ブレイブリーデフォルト』は本当に素晴らしいゲームで寝るのを忘れてプレイしましたし、『ドラクエビルダーズ』も大変ワクワクしました。


この『いけにえと雪のセツナ』ですが、何やら『クロノトリガー』シリーズを踏襲しているとかなんとかで、『クロノトリガー』の用語やシステムが随所に出てくるようです。
他の方のレビューを見ても『クロノトリガー』と比較されている方が多いですが、自分は実は『クロノトリガー』を一本もプレイしたことも見たこともないので、色眼鏡なしで新鮮な気持ちでプレイしました。
自分がやった限り、『クロノトリガー』を知らなくて戸惑う場面は一切なかったです。

『いけにえと雪のセツナ』の購入のきっかけは4Gamerで紹介されていて、一目でその世界観に惹かれたからです。
こういうやわらかい感じの中に微かに、しかし確かに見える闇、みたいなゲームは大好きなんですよね。
あとはセツナちゃんがかわいかった。


さて、ではそんな『いけにえと雪のセツナ』のレビューをつらつらと書いていこうと思います。
なるべく抑え目にはしますが、若干のネタバレはありますのでそれが嫌な方はブラウザバック推奨です。




【概要】
世界観:★★★★★
シナリオ:★★★☆☆
グラフィック:★★★★★
サウンド:★★★★★
バトル:★★★★☆
ボリューム:★★★★☆
トータル:★★★★☆


世界観:★★★★★
最高。
最初から最後までガッチリと統一された世界観で魅了してくれました。雰囲気だけで購入したところがありましたから、その点から見ると文句なしの100点満点。
タイトルにもある通り、"雪"が主軸となって雰囲気が統一されているのですが、雪の儚さや冷たさ、そしてそれを後押しする美しくも切ないピアノ。完璧ですね。

しかし、自分もまさか最初っから最後まで本当に雪のマップしか出てこなかったのには驚きましたが。


シナリオ:★★★☆☆
シナリオは基本的にオーソドックスで、世界がヤバいから救いに行こうというお話。
しかしながら、その世界を救うためにはメインヒロインのセツナの命と引き換えにしなければいけない。冒険をやり遂げても完璧なハッピーエンドは訪れない。最初からそう言われてのプレイは結構くるものがありました。
当然ゲームを進めるにつれ各キャラへの愛情は深まっていく一方ですから、一際メインヒロインに対する感情は大きいもので。物語は進めたいけど、永遠に終わってほしくない、そう願いながらプレイしていました。

プレイアブルキャラは基本的に何かしら悩みや闇を抱えており、自分自身の力で、時には仲間の力を借りて、ひとつずつ解決していきます。
一気に解決されない問題も多く、一見解決されたかのように見せられるので「掘り下げが甘くないかな?」と思うこともありましたが、それは自分の思い違いで、ちゃんと後から解決されます。

そんな中、物語の一応の主人公であるエンドだけ結局なんなのかよくわからなかったです。
それに連動するように、物語のラストは少し不完全燃焼。なので★はちょっと控えめ。
一応、この記事の最後に考察と呼べない考察を書きますが。



グラフィック:★★★★★
最高。
流石というべきか、文句の付けようがないです。

かつてロマサガ3でポドールイなんかで歩いた後に雪に足跡が残って感動してはしゃいでいましたが、もはやそんなレベルでは済まない残り方。雪の深さも違えばキャラだけでなくモンスターも足跡が残ります。
木から雪が落ちる描写、雪により遮られる視界。
3Dなんだけれどカメラがトップビュー完全固定なので2Dのように楽しむことができる、まさに昔ながらのJRPGという感じです。

また、武器変更によりキャラが持つ武器の見た目も変わるという、今でこそスタンダードとはいえ、やはり感動します。ここは時代の流れに素直に感謝です。

ただ、立ち絵があまりにも少ない(というかもしかして一種類?)のが少し残念。


サウンド:★★★★★
最高。(最高しか言ってない)
しかし、これは評価が人によって分かれるかもです。

最初っから最後まで統一されてオンリーピアノなので、物足りないと感じる人には辛いかもしれません。(もしかしたら他の音も入っているかもしれないですが、思い出せない程度にはピアノしかないです)
自分もボス戦は流石にドラムなりシンセなり入るだろうと思っていましたが、オンリーピアノ。
プレイ中は少し意外に思いましたが、ところがどっこい、これがまたうまいこと曲調や強弱だけで緊迫感や特別感を演出していて、結果、全体の世界観をぐっと引き締める最高のお手伝いをしていました。


バトル:★★★★☆
最初は微妙かな〜と思っていましたが、慣れると楽しくなってきます。
バトルはATB方式で、半リアルタイムか完全リアルタイムかはプレイヤーが選択できます。(当然私は半リアルタイムです)
また、刹那システムという本ゲームオリジナル要素があり、ゲージを消費してアクションコマンド的な操作感で追加攻撃や追加効果を狙えます。

エンカウントも私の大好きなシンボルエンカウント方式で、避けようと思えば極力戦闘は避けられます。
ただ、バトルをしないと経験値、お金はおろか、本ゲームでスキル的な役割を持つ法石すら入手できなくなってしまうので、バトルは基本的に避けるのはデメリットしかありません。

そんな状況の中、たま〜に色違いでべらぼうに強い(本当に意味不明に強いです)雑魚モンスターが普通に徘徊していますので、そのせいで全滅するとキツいかも。
逃げる手段はあるものの、逃げるコマンドもなければセーブポイントも基本的にダンジョンに一ヶ所しかないので。(全滅すると容赦なく直前のセーブからやり直しです)

シンボルエンカウントなのでプレイヤーの操作次第でいわゆるバックアタックが取れますが、全体魔法を覚えてしまうと雑魚戦は全てバックアタック→全体魔法×2〜3で終わってしまいます。
その上刹那ゲージまで溜まった状態で戦闘が始まるので、敵の数が少ないと魔法すら使わずに簡単に殲滅できてしまいます。

ボス戦は最初こそ接戦になりますが、後半になるとクオンに威力アップ系統、クリティカル発動、ATB増加をガン積みして「天衣無縫」を連打しているだけで終わっちゃいます。他のキャラが行動する前に終わることも。
ラスボスも瞬殺してしまい、リアルで「えっ」と声が出ました。


ボリューム:★★★★☆
全体を通して短いです。
街も少ないし、ダンジョンも短いし、ボスも少ないです。

しかしながら、それには「ゲームをクリアする前に投げ出す人を減らしたい」という開発者サイドの意図があってのことで、決して手抜きではないことを伝えたいです。
下の記事は是非読んでみてください。

とりもどそう、ぼくたちのRPGスクエニ×TRFが『いけにえと雪のセツナ』を作った理由
http://dengekionline.com/elem/000/001/122/1122508/

ただ、本ゲームには石で作られたダンジョンがいくつか存在するのですが、それは他のダンジョンに比べて三倍↑ぐらい長いうえに、街に戻るなんていう便利アイテムも魔法もないので、ちょっぴり辛かったです。
しかし、それでも他のゲームのダンジョンよりかは面倒くさくないと思うので、良心的だったかなと思います。


トータル:★★★★☆
投げ出さずにプレイし終えたコンシューマは久々だったので、久々に達成感があります。
開発のTokyo RPG Factoryも元々スクエニなので、全てが高いクオリティでまとまっていると思います。


ここまで長々と書いてきましたが、RPGが好きな人も好きだった人もそうでない人も、『いけにえと雪のセツナ』、是非プレイしてみてください。
なんせ4,800円ですからね。安い!




ここからは少し既プレイ者向け。


選択肢
基本的に意味はありません。
どこかのゲームみたいに選択肢を間違え続けると闇堕ちするなんてこともありません。
全ての会話が聞きたい場合は相当面倒くさいです。


素材収集
個人的には好きです。世界樹(3以降?)をやったことのある方でしたらスムーズに受け入れられると思います。普通にレベルアップでは魔法を覚えないので、そこに抵抗感がある方はいるかもしれませんが。
〜キルも、特に意識しなくても勝手につくし、宝箱からも法石が手に入るので、法石不足で詰むってことはないかも。


武器強化
最初は説明がないに等しいのでよくわかりませんでした。
ダマスカスを使っても攻撃力が上がらない武器もあり、物語終盤まで割と死に要素な気がしていました。が、オリハルコンが出た途端、武器の強さが尋常じゃないほど強化されたのでビックリ。


宿屋
これ、戸惑った人が最も多かった要素なのではないでしょうか。
なんと本ゲーム、宿屋、ありません

フィールドを一定歩数歩いたら回復するとか、街に入った瞬間に回復するとか(ただ直前でレベルアップしただけ)、音がなったら回復した合図だとか(ただのダウジングマシン)、最初は色んなオカルトを信じていて「あれ、回復してないじゃん!!」と戸惑いました。
テントをフィールドのどこでも使えることを知ってからはスムーズな旅になりましたが、それまではダンジョンのセーブ地点でしかセーブもテントも使えないと思っていました。


MAP表示がない
方向音痴には辛い仕様でしたね。
一番の問題は飛空艇。物語後半に飛空艇が手に入り世界を自由に行き来できるようになるのですが、基本的に迷います。
世界の果てまで行っても一周せず見えない壁(見えますが)に阻まれて進めないようになっており、メルカトル図法のように場所を記憶できれば済む話なのですが、ちょっと辛かったです。


フィールドの移動速度
これは個人的にマイナスポイント。
飛空艇が手に入ってからの移動速度の向上や快適さに対する感動を増加させる意味合いもあったのかもしれませんが、いくらなんでも遅すぎです。
街やダンジョン内は走って移動してくれるので何も問題はありませんが、それも相まってフィールドでの移動速度はとても気になりました。
ただ、次のポイントまでの距離が比較的短い上、敵とのエンカウントもない為、致命的とまではいきませんでした。


一本道
道中の寄り道はほとんどと言っていいほどないです。
物語に深みを与える目的以外で存在している意味のない場所は結構ありますが。


鍵のついた宝箱
個人的には高評価です。
この鍵のついた宝箱、一番最初の街からほとんど全ての街・ダンジョンに配置されているのですが、物語終盤まで空けることができません。(面倒くさいダンジョンにももれなく置いてあります)
物語を振り返ったり懐かしむという意味で全てのマップを訪れ直す理由がある、という意味で私は好きですが、やらされている感は確かにあります。


隠し部屋
本ゲーム、嬉しいことに開発チームの隠し部屋が用意されています。
敵の強さを少しいじることができますが、デバッグモードがあるわけでもないので本当にファンサービスのための部屋といった感じ。(鍵のついた宝箱はあります)

しかし、なんとこの部屋、クリア前に行けてしまいます

とはいえ、この部屋にたどり着くにはラスボス手前でようやく出てくるワープポータル的なものと同一のものに飛び込まなければいけない為、「べらぼうに強い敵がいたらどうしよう」と逃げ帰るプレイヤーもいるかもしれません。(私です)
ただの画面切り替えでなく、あえてワープポータルにしたのは魔除け的な役割を持たせたのかも。




※※ネタバレ注意※※




少しだけエンディング考察。


なんとびっくりタイムリープモノ。

エンド以外の5人は何度も何度もこのいけにえの旅を続けていたそうで、その度に最後は失敗してしまっていた。(大鎌の男は不明)
時の審判者とその分身であるクオンは暁美ほむら的なポジションで世界を何度も巻き戻し、セツナ達一向にいけにえの旅を続けさせた。
そして遂に、今回のいけにえの旅は大きなイレギュラーの登場によりいつもとは違った結果が得られると期待され、時の審判者はそれを試し、結果今まで何度繰り返しても進むことのできなかった道を進むこととなる。

そのイレギュラーとは、エンドである。

そんなお話。


誰もが想像がついていると思われますが、エンドは「end」からきていると推測され、この途方もなく繰り返されてきたいけにえの旅を終わらす目的で登場した存在のようです。

ではなぜ今回エンドは存在できたのか
それについて全く語られていないのです。

それどころか物語冒頭でエンドを雇ってセツナの命を狙わせた雇い主の真意、エンドが傭兵稼業をやめてセツナについた心境、このあたりがいまいち語られていない気がします。

物語の最終盤でセツナの命を奪うか奪わないか、その物語の「end」をプレイヤーが選択することになりますが、どちらを選んでも特に結果は変わらず。
セツナは本当はどうなったのか、その後エンドはどこに消えていったのか。全ては想像の上です。


もちろん開発者側で"解答"は用意されているのでしょうが、プレイヤーは憶測することしかできません。
エンドがなぜ今回の旅に同行することができたのか(なぜこの世界線に現れることができたのか)、ここだけがどうしても知りたいです。